2007/3/14 佳作入選 燐光は猪なるか雨けむる
2007/2/14 佳作入選 秋晴れやロビーに弾むピアノ曲
2007/2/14 投稿 私塾閉ざす我が足元の灼けにけり
2004/11/14 投稿 地震(なゐ)遠し桶に皺寄る秋の水
2004/11/14 投稿 溪紅葉栄えし夜半の置屋かな
かつて養老渓谷で働いていた板前の話を聞いた後で詠んだ句です。

およそ30年くらい前には養老渓谷の町にも芸妓の置屋があったそうで、その頃は町も置屋も夜半過ぎまで賑わったのでしょう。

渓谷の紅葉は、当時は川、谷、町、人を豊かに深く染めたと思われますが、今はいささか元気を失っているようです。紅葉に輪をかけて渓谷の町は寂れてしまいました。

むろん芸妓は姿を消しました。コンパニオンと称し、多少大きな町から出張してくるだけです。三味線、踊りはだめ。あえて芸といえばカラオケで客と唄うくらいでしょうか。時間が来ると帰り支度をはじめます。延長料金を払っても、おつきあいはせいぜい十時まで。それ以降は電車がなくなるからと断るコンパニオンがほとんどです。

夜更け、わずかな灯火に見える渓谷の紅葉は、かつての賑わいの中よりも落ち着いた美しさをたたえているようです。
2004/11/14 投稿 終列車過ぎて無人の紅葉冷
2005/2/14 佳作入選 明け六つや腿の絡みし竹夫人
2005/2/14 投稿 いちご狩り幟(のぼり)になじむ農婦かな
2005/3/14 佳作入選 終列車過ぎて無人の紅葉冷
2005/3/14 投稿 破産とやいきなり猛ける虎落笛
2005/3/14 投稿 浴場の冱つるままなる破産かな
2005/3/14 投稿 冬館やおら朽木の倒れけり
2005/4/14 佳作入選 新米を研ぐ音近き小家かな
2005/4/14 投稿 花冷や荒れたる寮の革命歌
2005/4/14 投稿 破産とはいずこの町よ花見酒
2005/4/14 投稿 旧式の銃把の汗のぬめりかな
2005/5/14 佳作入選 小春日や幼子のせる猫車
2005/5/14 投稿 スコールや茣蓙一枚の店仕舞
2004/12/14 投稿 歳晩や湯気破りたるシェフの声
2004/12/14 投稿 宴(うたげ)果て人散り散りの師走かな
2004/12/14 投稿 新米を研ぐ音近き小家かな
2005/1/14 投稿 小春日や幼子のせる猫車
2005/1/14 投稿 神木の瘤隆々と初茜
2005/1/14 投稿 春隣遺りし寝巻洗ひけり
2005/7/14 佳作入選 浴場の冱つるままなる破産かな
2005/5/14 佳作入選 いちご狩り幟(のぼり)になじむ農婦かな
1999/5/14 投稿 蜘蛛の糸花弁ひとひら捉へけり
2000/8/14 投稿 昇り尽きどっとしだれる遠花火
2002/2/14 投稿 大寒や野に廃されし消防車
2002/2/14 佳作入選 春吹雪家族の欄の余白かな
就職のために数十枚もの履歴書を書く味坊をご想像ください。

職歴は書ききれないほどあるのに、家族欄には還暦を過ぎていながら埋める記事がない・・・

その欄を余白のままにして窓外に目をやると、いつのまにか降りだした春吹雪が、にわかに視界いっぱいに広がり、人の不幸を喜ぶように乱舞していた・・・

味坊はたちまち無職者、独居老人の境涯にうちひしがれ、春吹雪の狂喜乱舞に唇を噛んだのでした。
2002/2/14 投稿 闇になほ城遺りけり胡蝶蘭
2001/7/14 投稿 宵祭青年黙し歩きけり
2001/7/14 投稿 群青の背に太き朱や夏祭
2001/7/14 投稿 十余人といへど子供の神輿かな
2002/3/14 投稿 うぐひすや米研ぐ水のやはらかき
2002/3/14 投稿 焼け跡の土台いくとせ梅真白
2002/3/14 投稿 父と子の芥つつましき梅二月
2002/1/14 投稿 人妻の目尻おさへるショールかな
2002/1/14 投稿 元朝や渚に並ぶ一家族
2002/1/14 投稿 松過ぎや畦に佇む古背広
2003/12/14 投稿 山茶花や今朝珍客の一羽二羽
2003/12/14 投稿 冱つる夜や看護婦走る西東
2003/12/14 佳作入選 風呂吹や田舎小町の膝小僧
失職して暮らしにめどの立たない味坊が、面接をしてくれそうなところに手当たりしだいに電話をかけ、何でもやるからと雇い主に泣きついていた頃・・・

毎月住宅ローンの返済に追われ、貯金どころではない。そんなときに仕事を失えばどうなるか。おおげさでなく生死のかかる日々になります。

まず頼りにするのは職安ですね。友人知人親戚に企業家や大金持ちがいない限り。

職安がだめならフリーペーパー、インターネット。折り込み広告はないんです。新聞とってないもんで。

面接をしてくれると言ってくれたところにはすべて行きました。悪評高い介護施設にさえ前後五回はあたったでしょうか。

今から考えれば幸いなことに(と言い切っては誤解されそうですが)介護施設からも振られました。

半狂乱だった味坊は農家にもでかけました。雇ってくれるなら本気で農業をやるつもりでした。

自宅の狭い庭の雑草を半日かけてむしるだけでへたばってしまう者が、我を忘れて農家の面接に出かけたのです。

実直そうな老夫婦が相手をしてくれました。しかし一目見てだめと判断したようです。

ものの五分と経たずに後日連絡するからといって、老主人はその場を立ちました。

「遠いところをご苦労様でした」

奥さんがとりなすように言いました。

平成二年生まれのポンコツに乗りかけたところに、老主人が裏庭からあらわれ、十数本の大根をみやげにくれました。

さてそんな味坊が描いた想像の場面。

囲炉裏で大根を炊いているのは、メンコイと評判の村娘。

破れたジーンズから丸々とした膝小僧がほんのすこしのぞいている。

座布団を枕にしてうつらうつらしている男はむろん味坊。

現実の味坊は、ガスコンロに鍋をのせ、みやげにもらった大根を一人寂しく炊いていたのでした。
2003/12/14 佳作入選 くちなはや逝きし連待つ脱衣場
蛇のつがいは片割れが戻ってこないといつまでも待っているそうです。

永年温泉で働いていたお聖さんから聞いた話です。

味坊がホテルに勤務していた頃、風呂場で大きな蛇がとぐろを巻いているとのクレームを受け、なるほど大浴場の玄関で青大将がカマクビをもたげていました。

ここで逃げてはナイトフロントの名が廃る。持っていたゴルフクラブで一撃すると青大将はのびちゃった。

ゴルフクラブの衝撃は相当なものですね。

ゴルフファンの皆さん、公園なんかで練習しないでくださいませ。取り返しのつかない大事故がおきますよ。

味坊が一撃で青大将を片づけた翌晩、またまたお客さんからクレームがつきました。

クレームというより恐怖の叫び声ですね。

大浴場の玄関に大蛇がいるというのです。

アフリカの密林じゃあるまいし、大蛇がいるとは大げさな・・・

でもホントにいたんです。大蛇に近い青大将が・・・

お聖さんの話はウソではなかった・・・大蛇に近い青大将はいつまでも戻ってこない連れ合いを待っていたんですね。

味坊はお客さんの手前、その亭主も逝かせました。

どうぞ成仏してくれよ。南無阿弥陀仏・・・
2003/11/14 投稿 黄塵のおよばぬ海の入日かな
2003/11/14 投稿 手折らずば藪の奥なる返り花
2003/11/14 投稿 小夜時雨喪服半身に拝みけり
2003/5/14 佳作入選 年迎ふ樽酒の木の香りかな
味坊の勤めていたリゾートホテルの大晦日。午後九時頃、緑色の大理石を敷き詰めたロビーの一角に、樽酒が三樽積まれます。新年を迎える準備です。

同日午後十時過ぎ、厨房では年越しそばが従業員に振舞われます。

十一月半ばから宴会続きで目いっぱい働いた従業員がほっとするひと時です。

一年で一番上手いそばをご馳走になって、ロビーに戻ると樽の木の香りが漂っているような気がします。

実際には、翌元旦の朝、菰を開き、木の蓋を割らないと香りが漂ってくることはないのですが・・・一年前の元旦の香りが自然に蘇ってくるのですね。

この句を詠んだのは6年も前のことなのに、樽酒の木の香りは昨日のように思い出されます。
2003/5/14 投稿 星月夜牧場の柵の朽ちにけり
2003/5/14 投稿 ベゴニアの紅小指にて刷きたるや
2003/2/14 佳作入選 古書街や自著一書なき秋の暮
電気街といえばアキバ。古書街といえば神田神保町。

これほど大量の古本、新本があるなかで、自著が一冊もない。

中学生の頃から面白い話が書けたらと夢を紡いできた味坊は、嘆くほかありません。

心が挫けそうになった、とはWBC中のイチローの弁。

志をいつの間にか失った味坊。

人生の秋の暮れをむかえた味坊の感懐です。

2010/1/20
昔作った俳句ばかりならべても飽きますね。本人が飽きるのだから、インターネットサーファーは見向きもしない。

本サイトに仕掛けたグーグルの解析を見ると滞在時間0とでる。トラフィックイクスチェンジでは、1日50から100は訪問者が

あるのに、滞在時間0というのはひどい。

ブログ風に日常の出来事やその感想を毎日書いていけば目をとめてもらえるのだろうか。


いま味坊には旅する時間も金もない。なので旅行作家の本を読んで旅に出たい気持ちを紛らせている。

シーナ隊長率いる怪しい探検隊関連の本は、旅に出たい気持ちを紛らせるというよりかえって煽られるので困る。

バリ島で冷たいビールを飲みながら焚き火の周りでポンポコポンポコ踊ってみたいなあ。

一人用テント
シュラフ。それに焚き火があればシベリアの極寒も凌げるような気がしてくるのがシーナ隊長の旅行記ですね。

以下は、「スッポンの首」(文芸春秋刊)93ページから95ページにかけの抜粋。

「これまでいろいろな土地を旅行して思うのは、テントの寝袋の中がやはり一番ここちのいい睡りが得られるということである」

「かつて二ヶ月ほどぼくはモンゴル式のスプリングベッドの上に毛布を敷きフートー型とマミイ型の寝袋を組み合わせて使って

いた。

フートー型というのは、つまり角封筒のような形をしていて利点はその中でけっこう楽に普通の布団の中のように体だけ動かす

ことができる。欠点は少々寒いこと。マミイ型はつまりはミイラ型で、体にぴったりするぶんあたたかいが、長期の旅の連続使

用ではくたびれる。だからその日の温度や体調によってこの両者を使いわけるのだ。ひどく寒い時はフートー型の中にマミイ

型を突っこんで重ねて使う。これはなかなかしあわせにあたたかい」


味坊は1972年から78年にかけて、主にヨーロッパ諸国、時々タイ、カンボジア、ラオスを漂流していたが、寝袋を使った記憶が

ない。

1972年2月、約5000トンの貨客船に乗って横浜の大桟橋を出航したとき、大学の2年先輩から譲り受けたカニ型リュックサ

ックと、綿の詰まったミイラ型寝袋を持っていたはずなのだが、カニ型リュックサックは,その後常用していたのに、綿の詰まっ

たミイラ型寝袋の恩恵を受けた覚えがない。

ヨーロッパ諸国には思いのほか安ホテルがあったし、タイ、カンボジア、ラオスは、ひらけた町にいる限り、今日もあしたもあさ

ってもアヂーアヂーで、寝袋にくるまるなんて想像するだけで汗が噴き出てくる。

(つづく)<・・・・クリックしてください。
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俳句朝日投句集

すでに廃刊になった「俳句朝日」に投稿した味坊の俳句を集めてみました。
ほとんど没になったものばかりですが、詠んだ当時の情景がパッと甦ります。
うまい、まずいは別にして、俳句は人生の一時期を簡潔に表現できる方法だと改めて思います。

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旅あれこれ俺の小文